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JOURNAL
− ジャーナル −

#14 
倉敷の物語 vol.1

 
 
水色の箇所が中世の海
その下に線画で書かれているのが現在の陸地
倉敷の中心部や、テオリのある真備町も海だったことが分かる
 
 
 

 

#ヒストリー #倉敷  

 

   
 
  干拓によって生まれた町  
 

 

 
 

テオリのある真備町は、倉敷市の北部に位置しています。
中世以前の真備町中部は高梁 川河口の浅瀬でしたが、倉敷も大小の島々が浮かぶ広大な浅海で、800年前には「源平合戦」として知られている源氏と平家の戦いがありました。

中世以降、倉敷一帯の島々は 戦国武将の宇喜多秀家(うきた・ひでいえ)が干拓を始め、江戸時代以降も徐々に干拓を広げ、やがてそれらの島々が陸続きになり現在の平野が形成されました。
(倉敷市周辺に児島、玉島、早島など「島」のつく地名が多いのは、こういった土地の成り立ちによります)

倉敷は寛永19年(1642年)に幕府直轄地、いわゆる「天領(てんりょう)」となりました。高梁川と児島湾を結ぶ運河として倉敷川が作られ、周辺の直轄領を支配する政治の中心地であると同時に、備中南部の物資集散の中継地として発展しました。現在の倉敷アイビースクエアのある場所に置かれていた倉敷代官所は、商人たちの自治を認め優遇したことで人口も増加し、領地は名目上5万石でしたが、実質は10万石以上の領地を治めていました。

 
   
     
   
     

倉敷川の沿岸には商家の名残が残る

 
     
土地が導く産業

明治以降の倉敷に大きな影響を与える紡績・繊維産業や、現在注目されるジーンズも、実はこの土地の成り立ちにルーツがあります。

以降の干拓によって、倉敷の浅海は陸地に姿を変えていきましたが、干拓されたばかりの土地は塩分が多く、米作りには向きません。そこで干拓された当初は塩分に強い綿が栽培され、現在につながる繊維産業の礎が築かれました。特に江戸時代中期以降、干拓地で綿やイグサが盛んに生産されるようになり、運河として利用された倉敷川の周辺は、 綿などを扱う問屋や仲買人でにぎわいました。現在も倉敷美観地区には、川港の繁栄を物語る当時の荷揚げ場や常夜灯などが残り、綿花産業の富を象徴する白壁の建物が軒を連ねています。   

明治時代になると、政府によって民間紡績業の育成が奨励され、明治14年(1881年)に国内最初の民間紡績所である下村紡績(児島)と玉島紡績(玉島)が開業、明治22年(1889年)には英国式の最新機械と工場施設を備えた倉敷紡績所(現クラボウ)が倉敷代官所跡に開業し、繊維産業が隆盛を迎えました(初代社長:大原孝四郎)。イグサも江戸時代から盛んに栽培され、明治11年(1878年)に茶屋町出身の磯崎眠亀が、錦莞莚(きんかんえん)を発明。 錦莞莚とは花莚(花むしろ)の一種で、明治初期までのものと比べ、経糸(織物を織る際 にタテになる糸)の数が3倍になっているため、イグサで編んだものとは思えないほど精巧緻密に仕上がっています。錦莞莚は、欧米をはじめとする海外への重要輸出品目にまで成長し、茶屋町は全国一の花莚産地となりました。
 
倉敷市児島のジーンズストリート
海外のバイヤーやブランド関係者も訪れるほど、
デニムの中心地として知られている
 

 倉敷の伝統産業として育まれた、紡績、撚糸(ねんし:糸によりをかけること)、織り、染色、縫製などの技術は、生活様式の変化により学生服・作業着などの多彩な衣料品製造へと発展します。大正時代以降、服装の洋風化によって学生服が急速に市場に浸透し、昭和30年(1955年)には全国の学生服の7割を児島産が占めるまでになりました。
産地の縫製技術を生かし、昭和40年(1965年)には国内初のジーンズを生産。児島は 「国産ジーンズ発祥の地」といわれるようになり、現在では加工も含めたその生産技術は世界のジーンズ産業に大きな影響を与えています。

     
 

次回は紡績・繊維産業が、
倉敷の街並みや文化に与えた影響についてお伝えします。

 
     
         
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